「ときいろ」では、ブルーや虹色に輝くきれいなトーンが乗った銀貨を紹介してまいりましたが、昨今は特にこのようなブルー系、紫系や虹色系のトーンが好まれる傾向が顕著です。このようにカラフルナトーンの銀貨は市場でも高値をつけ、なかには通常の個体の10倍以上の値を付けるコインも出てきました。この傾向はますます強くなり、美しいトーンの銀貨は今後も値を上げると店主は考えております。
このようなカラフルなトーンは偶然にできたもので、それだけに高い希少性があります。人それぞれ美に対する感覚は違いますが、「ときいろ」で紹介させていただくコインは、一枚一枚店主がきれいだと感じるコインを厳選したものです。
「ときいろ」は、これからもブルー系、バイオレット系、虹色系のトーンが乗った銀貨を、『カラフルなトーンを楽しむ銀貨シリーズ』として皆さんに紹介させていただきます。
なお、トーンは銀貨の表面と空気中の含まれる硫黄分(硫化水素)や塩素が反応してできる、硫化銀などの被膜によるものです。したがってコインを直接空気にさらすと、長い年月の経過とともに被膜が厚くなり黒く変色してしまいます。これに対してPCGS/NGCなどの密閉スラブ(鑑定ケース)は窒素で充填されており、コインの黒色化には効果があると思います。それでもご不安な方は、市販の「銀製品の変色予防シート」や「真空パック」などを使うことによって、さらに黒色化は防ぐことができると思います。
最後にカラフルトーンが乗った銀貨は、以下の3つの観点で評価できます。
- 1. コインそのものの稀少性
- 2. コインそのものの状態の良さ
- 3. トーンの美しさ
今後ときいろで販売する『カラフルなトーンを楽しむ銀貨シリーズ』は、上記3点でランク付けさせていただきます。
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明治の一円銀貨は明治7年から同20年までが大型で、明治20年後半からはほんの少しサイズが小さくなって発行されました。直径は大型が38.6ミリ、小型は38.1ミリです。なお細かいお話をしますと、明治3年のみデザインが異なり「旧明治1円銀貨」とよびます。本貨は明治19年ですので「大型の新1円銀貨」ということになりますが、大型円銀はMSクラスが少なく値も張ります。
本サイトをご覧の方はご存じだと思いますが、この3年ほどで一円銀貨は随分と値を上げました。店主のようにずっと前から円銀をみてきた者にとって、この円銀の相場上昇は驚きでした。おそらく中国コインに引っ張られる形で円銀も値を上げたのだと思います。よく「岡目八目」などと言いますが、中国人から見るとお隣の国の円銀は随分と安く見えたのでしょう。この中国人の強い買い意欲をみて、日本人コレクターも改めて円銀の安さに気が付いたのではないでしょうか。特に状態の良い円銀やプルーフライク貨は値上がりし、一昨年以降の相場は4-5倍にもなった印象です。なお最新の「日本貨幣カタログ2022年版」によりますと、明治19年の未使用が17万円、完全未使用が30万円でしたが、来年もこのカタログは訂正が必要になりそうです。
それでも円銀は、近隣アジアの大型銀貨に比べると著しく出遅れていると店主は思います。中国の清朝末期の大型銀貨(「7銭2分銀貨」)なら、美品(XF45)程度の並年コインでも50万円ほどはしますし、未使用級(MS63)程度なら並年でも200万円ほどの値を付けます。アジア近隣国の大型銀貨も相場上昇中です。
さてこのコインですが、なんといっても本貨の特徴は、ウラ面(一円面)のカラフルなトーンです。日本は気候的な特徴からか、明治の銀貨でこのようなカラフルなトーンが乗った個体はめったに見られません。よく湿度の高さが原因と言われますが、上記のようにトーンは銀の表面にできた硫化銀の被膜によるものですから湿度とは直接関係は無いと思いますが、もしかしたら湿度がなんらかの影響を与えているのかもしれません。
ともあれ本貨のウラ面は「一円」文字の周辺から左側と上側に、カラフルなきれいなトーンが乗っています。「一円」文字の周辺はブルー系のトーンですが、コインの端に行くにしたがってオレンジ系へと色合いが変わります。さらに上の方「菊の御紋」の周辺部分には虹色の部分も見られます。「一円」の右側のフィールド部分にバッグマーク(注)はありますが、状態そのものもかなり良い状態です。
注)バッグマーク:出来上がったコインを輸送する際に入れる袋の中で、コイン同士がぶつかり合うことによってできるキズ。
なおNGCによって本貨(明治19年)は230枚鑑定されていますが、分布は以下の通りです。
MS65:4枚
MS64:11枚
MS63:33枚
MS62:43枚 ←ココです
MS61:17枚
MS60:2枚
AU58:33枚
AU55:26枚
AU53以下:61枚
なお本貨に対する「ときいろ」の評価は以下の通りです。
1. コインそのものの稀少性:★★★
2. コインそのものの状態の良さ:★★★
3. トーンの美しさ:★★★★
注)満点は★5つです
大型でなおかつ高鑑定、しかもカラフルトーンの逸品です、将来性があると店主は思います。
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