状態:NGC-MS64(UNC+)
このコインが発行される4年前、本国ポルトガルはナポレオンの侵攻を受け、ホアン皇太子は女王マリア1世といっしょにブラジルに逃げました。その後マリア1世が体調不良で政務がとれなくなったため、皇太子ホアンが摂政として政務を担ったそうです。
この金貨はホアン6世(Joao Ⅵ)が、皇太子だった時代(1805年-1818年)に発行された4000レイスで、鋳造はリオ・デジャネイロの中型の金貨です。発行枚数はさほど多くはなく、毎年10万枚前後が発行されています。本貨1812年銘も12.4万枚ですから、現代的な感覚では少ないほうです。
さてこのコインは、写真をご覧のように輝きが素晴らしいコインです。ウラ/オモテとも、まるで最近造られた金貨のようにきれいな金色に輝いています。オモテ面の王冠や紋章部分の一部は摩耗しているように見えますが、これは当時の刻印技術によるもので摩耗ではありません。これに対しコインの周辺部分の文字はきれいに刻印されています。ウラ面の中央部分に、ホンの僅かな斜めの線が入っていますが、これはアジャストメント・マークといって、鋳造後に重さを調整するための削り痕です。この時代の多くのコインにはアジャストメント・マークが見られますが、本貨の場合はごく軽微なものです。
なおNGC社によって本銘柄の1812年銘は44枚鑑定されていますが、分布は以下の通りです。
NGC-MS66+: 1枚
NGC-MS65: 6枚
NGC-MS64+: 1枚
NGC-MS64: 11枚 ←ココです
NGC-MS63: 8枚
NGC-MS62: 4枚
NGC-MS61以下: 12枚(数字なしDetails鑑定含む)
Standard Catalog of World coins 9Th Editionによりますと、本貨1812年銘の価格ガイダンスは、MS60が1200ドル、MS63が2100ドルとなっています。
ここ数年、中南米のスペイン植民地で造られた金貨は随分と値が上がりましたが、ポルトガル植民地ブラジルの金貨はほとんど値が動いていません。店主はこの時代のブラジル金貨には割安感があると思います。
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