ナポレオン100フランは前期(1855~1860年)の無冠時代と、後期(1861~1870年)の有冠時代に分かれます。なおこのコインはナポレオンが月桂冠をかぶった有冠時代のものです。
発行枚数は合わせて約45万枚、そのうち前期(無冠)が約35万枚で、後期(有冠)が約10万枚です。さらに前期、後期ともパリの鋳造所で造られたタイプとストラスブールで造られたものがあり、それぞれ以下の通りの枚数が発行されました。
前期(無冠)
パリ鋳:約33万枚
ストラスブール鋳:約2万枚
後期(有冠)
パリ鋳:約7万枚
ストラスブール鋳:約3万枚 ←ココです
なお鋳造所は裏面に書かれた年号の左のイニシャルで判別し、Aはパリ、BBがストラスブールです。このコインは年号1866の左側にBBと書かれており(写真9、10枚目)これによってストラスブールで造られたコインだとわかります。
このコインは後期タイプで鋳造所はストラスブール(KM-802.2)ですから、すべての年号あわせ約3万枚しか作られていません。さらに、このタイプの年号別の発行枚数をみると以下のようになっています。
1862年:3,078枚
1863年:3,745枚
1864年:1,333枚
1866年:3,075枚 ←ココです
1867年:2,807枚
1868年:789枚
1869年:14,000枚
本貨は1866年ですから発行枚数3,075枚で、ナポレオン100フランの中では発行数が少ない年銘です。
さてこのコインについてです。
写真をご覧いただいてお分かりのように、ウラ/オモテとも目立ったキズやスレはありません、輝きもきれいで落ち着いたマット状の輝きをとどめています。この銘柄は、特にオモテのナポレオンのホホが擦れて黒っぽく変色した個体をよく目にしますが、ご覧のように本貨にはそれが無くきれいです。また、マユの部分が摩滅してしまっていることも多いのですが、本貨にはそれもありません。一点だけご注意いただきたいのは、オモテの11時から12時の位置、フチ部分にある茶色っぽい汚れがあります、おそらく何らかの付着物だと思いますが、キズやスレと違って大きな欠点ではありません(5枚目の拡大写真をご覧ください)。
ナポレオン100フランは状態の良い個体はさほど多く残っておらず、MS62でもまずまずの希少品です。なおPCGSによる本貨1866BBの鑑定総数は86枚(数字無しDetail鑑定を除く)ですが、MS62以上は本貨を含み30枚しか鑑定されていません。分布は以下の通りです。
MS64:5枚
MS63:15枚
MS62:10枚 ←ココです(上位35%以内)
MS61:13枚
AU58:18枚
AU55以下:25枚(数字なしDetail鑑定を除く)
ナポレオン100フランはここ3年ほどでずいぶん値上がりしましたが、昨年末(2023年10月14日)の国内オークションで、1862年BB(ストラスブール鋳:3078枚発行)のMS63が手数料込み266万円で落札されたのには店主も驚きました。本貨は1ランク低いMS62ですが、まずまずの希少品です。まだお安いうちにいかがでしょう。
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