状態:NGC-MS61(AU/準未使用)
スペイン王フェルディナンド7世時代の1814年に、コロンビアのヌエボ・レイノ(NRミント)で発行された8エスクード金貨です(1814NR JF/KM-66.1)。フェルディナンド7世の8エスクードはたくさん残っていますが、MSと鑑定される個体は稀です。
以下はNGC社による本年銘の鑑定分布です。ご覧のように本貨は総鑑定数34枚のうち上位9枚に入ります。
MS63:2枚
MS62:1枚
MS61:6枚 ←ココです
MS60:0枚
AU58:5枚
AU55:5枚
AU53:1枚
AU50:4枚
XF45以下:9枚(3枚の数字なしDetail評価を含む)
PCGS社はNGC社より少なく5枚しか鑑定していませんが、PCGS-MS61は単独の最高鑑定です。
なお店主は、ある大手オークション会社の2年半分(2020年10月から2023年7月)をさかのぼり、コロンビアのカルロス3世/4世とフェルディナンド7世の8エスクード全ての年号の出品歴を確認しましたが、全ての出品数36枚のうち、Details評価の数字無しが半数以上の20枚もありました。なお最高の評価はMS63(1枚)で、以下MS61(2枚)、AU58(4枚)、AU55(4枚)、AU53(1枚)、AU50(1枚)と続きます。カルロス3世/4世、フェルディナンド7世の出現頻度は高いのですが、上記のように状態の良いコインは稀です。
この時代の中南米の大型金貨は世界的にも相場上昇中ですが、本貨のように高状態のものは残存数が少なく、今後の価値上昇にも期待が持てると思います。なおコロンビアのフェルディナンド7世のうち本貨ヌエボ・レイノ鋳(NR)のカタログ評価は2,250ドル(XF40/注)です、XF40を超える評価の記載はありませんが、1810年銘のMS60が4,500ドル、ほかに1816年銘が3,500ドルと評価されています。本貨と年号は違いますが、この4,500/3,500ドルという金額は参考になると思います。なお、1810年銘と本貨1816年銘ともにXF40の評価は本年銘と同じく2,250ドルです。
注)Standard Catalog of World Coins 7th EditionによるXF40評価コインのガイダンスです
さてこのコインについてです。
ウラ/オモテとも素晴らしい輝きで、オモテのフィールド部分もキズやスレなど少なく、打ちあがったばかりの金色ですしウラも全体的にきれいな輝きです。
フェルディナンド7世の髪の毛や洋服、ウラ面の紋章部分は摩耗しているようにも見えますが、これは打刻の弱さによるもので摩耗ではありません。この銘柄は重さの調整のため、鋳造後に削り痕(アジャストメントマーク)を付けてしまう個体が多いのですが、ご覧のようにこのコインはまったく見られません。
一点のご注意いただきたいのは、オモテの1時のフチあたり「HI」の文字の先端部分が少し不明瞭ですが、これは打刻がセンターからずれており「HI」部分が少し平ガネをはみ出てしまったからです、欠点には違いありませんがごく軽微なものです。
ここ数年、カルロス3世からフェルディナンド7世の大型金貨は見直されつつあり、特にMS鑑定以上の個体は値を上げつつありますが、上記のようにMSクラスの個体は決して多く残っているわけではありません。同時代のイギリスはじめヨーロッパの大型金貨に比べるとまだまだ割安感が強いと思います。
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