状態:PCGS-AU50(VF+/美品+)
カンボジアのアン・ドゥオン王(1840年-1860年)時代、1847年に発行された1ティカル銀貨です。このコインは同国で発行された最初期かつ最高額面です。面白いことに同時期にKM-36とKM-37二種類の1ティカル銀貨が発行されています。いずれもオモテに「ハンザ」と呼ばれる鳥が、ウラにはアンコール・トムが描かれていますが、KM-36は厚づくり(直径30ミリほど)、本貨KM-37は薄手に造られています(直径は34ミリほど)。なお市場への出現頻度はKM-36のほうが少なく、KM-36が1枚に対してMS-37が2枚といったところです。
さてこのコインについてです
この銘柄は長期にわたって使われてきたこともあり、多くの個体は摩耗が進んでいます。本貨もそれなりに摩耗は進んでいますが、オモテ/ウラとも目だったキズはなく、この銘柄にしてはマズマズの状態です。色合いは両面とも明るいグレーで、トーンは乗っておりません。
上記のようにこの銘柄は状態の良いものが少ないのですが、下に挙げたPCGS社の鑑定分布のように、最高鑑定でもAU58でMS以上は一枚もありません。なお同社の鑑定数58枚の内訳は以下の通りです。
AU58:3枚
AU55:5枚
AU53:8枚
AU50:11枚 ←ココです(上位47%以内)
XF45:11枚
XF40:9枚
VF35:5枚
VF30:6枚
なおPCGS社の鑑定コインのうちDetail鑑定の枚数は不明ですが、NGC社の方は、鑑定数114枚のうち半数以上の58枚が数字なしのDetails評価です。おそらくこの比率はPCGS社でも同様ではないでしょうか。
近年のアジアコインの相場上昇によってこの銘柄も足元で急騰しています。3年ほど前ならこの状態の個体が5万円ほどで入手できたものですが、とてもではありませんが今はその値で入手できません。アジアの国が独自に発行した最初期のコインですし、図柄も面白く人気化する素質は十分です。
なおこの銘柄の数字アリのコインはなかなか出てきませんが、昨年(2022年)10月に国内で開かれたオークションに、本銘(KM-37)のPCGS-AU50(本貨とグレード)が出品され、総支払額ベース47万円強で落札されています。
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