注)ジャック・ル・ゴフはその著作「中世と貨幣」で、当時のダカットについて以下のように書いています、「(当時ヨーロッパで広く流通した)二つの国際的通貨、すなわちフィレンツェのフローリン金貨とベネチアのドュカット金貨の流通が強化されることになった。15世紀には、ベネチアのドュカット金貨が支配的な地位に立ったため、フローリン金貨にとって代わった。」 ( )内は店主補足
本貨はギリシャのヒオス島(もしくはキオス島)で発行されたダカットで、当時ヨーロッパ全土で使われていたベネチアのダカットを模して造られたものです。描かれているのはベネチア総督アンドレア・ダンドーロ(1343-1354年の総督)ですが、本貨が作られたのは1478年以降と考えられています。
さてこのコインについてです。
オモテ面のフチには総督アンドレア・ダンドーロの名が刻印されており、聖マルコの前に総督が膝まずく構図です。ウラは神々しいキリストの立像で、キリストのまわりには星が降っています。オモテ/ウラとも流通痕のない高状態で打刻もはっきりしています。オモテはほぼセンターに打たれており、フチに描かれた文字もよく見えます。ウラは少し上にずれて打たれていますが、なんとか文字は読めますし、キリストの図柄も切れていません。オモテ/ウラともフチの文字の部分に金さびが見られますが、これは本貨の味わいの一つで、輝きは十分に残っていてきれいなコインです。
なおNGC社によって本銘柄は89枚鑑定されており、内訳は以下の通りです。
MS67:1枚
MS66:3枚
MS65:12枚
MS64:12枚 ←(上位30%ほど)
MS63:11枚
MS62:7枚
MS61:5枚
AU58:10枚
AU55以下:28枚(19枚の数字なしDetail鑑定含む)
1478年以降の発行ですが、ダカットにしては初期のコインといっていいでしょう、状態もよく500年以上も前に作られたコインだとは思えません。直径2センチほどの小型金貨ではありますが、中世ヨーロッパに作られた歴史あるコインです。この銘柄も最近徐々に値上がりしてきました。
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