□状態:NGC-MS63(UNC/未流通)
普仏戦争中にフランスでナポレオン3世が退位し、その結果フランスは1875年に共和制(第三共和制)に移行しました。この銘柄は共和制のフランスで1878年から1914年まで発行された最高額面(100フラン)の大型金貨で、発行総数は全年号あわせ44万枚ほどです。ナポレオン3世時代の100フランは45万枚ほど(前期・後期の合計)発行されていますので、ほぼ同数程度です。
この100フランの発行数は、年によって枚数にばらつきがあるのが特徴です。以下は年別の発行数です。特に希少性が高いのは1887年(234枚)、1889年(100枚)、1894年(143枚)、1889年(400枚)で、このあたりはめったに市場に出てこず高値を付けます、本貨1885年はそれに次ぐ特年で2,894枚です、この年号もめったに出てきません。
・1878年:13,000枚
・1879年:39,000枚
・1881年:22,000枚
・1882年:37,000枚
・1885年:2,894枚 ←ココです
・1886年:39,000枚
・1887年:234枚
・1889年:100枚
・1894年:143枚
・1896年:400枚
・1899年:10,000枚
・1900年:20,000枚
・1901年:10,000枚
・1902年:10,000枚
・1903年:10,000枚
・1904年:20,000枚
・1905年:10,000枚
・1906年:30,000枚
・1907年:20,000枚
・1908年:23,000枚
・1909年:20,000枚
・1910年:20,000枚
・1911年:30,000枚
・1912年:20,000枚
・1913年:30,000枚
・1914年:1,281枚
さてこのコインについてです。
オモテはエンジェルの立像で、エンジェルがペンで刻んでいるのはConstitution(憲法)です。1875年に制定された憲法によって、フランスは共和制への移行が確定しましので、このコインはフランスがナポレオンの帝政時代から共和国に移行したことを、内外に示す意味があったのだと思います。なおジュエルの足元にはニワトリがいますが、これはフランスのシンボルでもあります。
ご覧のようにオモテ/ウラとも輝きがきれいで、目立ったスレやアタリなどはありません。拡大すると細かいキズは見えますが、NGC社の評価MS63は妥当だと思います。3番目の写真の上のほう、エンジェルの顔の左右にスレがあるように見えますが、これはNGCのケースにできたキズでコイン本体のものではありません。摩耗も少なく概して良いコインです。
なおNGC社は本年号(1885年)を49枚鑑定していますが、内訳は以下の通りです。
MS64:6枚
MS63+:2枚
MS63:9枚 ←ココです
MS62:5枚
MS61:7枚
AU58::3枚
AU55以下:17枚(12枚の数字なしDetails鑑定を含む)
上記のように1885年の総鑑定数は49枚ですが、たとえば一つ前年号1882年は210枚、一つ後の年号1886年は604枚鑑定されていますので、本貨1885年の希少性がわかります。
並年号なら足元のオークション価格は50万円(総支払額ベース)ほどですが、1885年銘はめったに市場に出てきません。最近はデザインの美しさから本銘柄も人気が出てきましたので、ナポレオンの100フラン同様、この銘柄もまた希少年号は値を上げてゆくと思います。
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